笑おう
「明ける朝 やがて来る夜」番外編
店員に聞いて、飲みやすいワインを買った。それが、いけなかった。
「あはは」
飲みやすいと言って、がばがば飲んで、その結果がこれだ。
食卓にくてぇっと身を預け、気持ち良さそうに朋が笑っていた。自分は何も面白いことを言っていないというのに。
「おじしゃん、わらわにゃいの〜?」
「俺は、お前とは違う」
「無表情上戸?なんちゃって〜〜あはは〜」
これには、少し腹がたった。
「笑おうよ〜。笑ったらいいよ〜〜」
へらへらと笑う朋を見て、楽しそうだとは思ったが、自分がそうなりたいとも思わない。もう30の男が酒飲んで笑うのもどうかと思うし。
「笑ったら……うれしかったぁ…」
朋の目がとろぉんと甘くなる。
「?」
「おじさんが〜、笑ってくれたとき〜、嬉しかったんだよ〜〜」
へへっと笑ってから、朋は寝息をたてだした。
「…………」
一景は、顔が熱くなるのを感じながら、たまに飲ませるのも悪くないと思った。
おわり
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ただの、イチャ話ですよ。
でも、酒で思考が鈍った時だからこその本音。
ちなみに、一景は酒は強いわけじゃあないけど、
セーブしながら飲める。朋は、限界超えても飲む。
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